創立総会 | 商法・会社法

 創立総会とは、募集設立のときに、最初に行われる株主総会のようなものです。株主総会との違いを意識して覚えておくとよいでしょう。発起設立の場合は、行われず募集設立の場合だけ必要です。

発起人による開催

 創立総会は発起人によって開催されます。

議決

 創立総会の議決は、定足数が議決権の半数で、三分の二以上の多数によって行われます。

定款変更の決議

 現物出資などの定款変更の決議を、創立総会で行った場合は、反対する株主は、創立総会後2週間以内であれば株式の引き受けに関する意思表示を取り消すことができます。

株主総会との同じもの

  • 書面による議決権の行使
  • 電磁的方法による議決権の行使

 

遺言 | 民法

 遺言とは、自分が死んだときに、どのように財産を分配するかの意思表示です。死亡の時に効力が発生します。

意思能力(遺言能力)が必要

 遺言を行うためには、意思能力が必要です。未成年者については、民法で15歳以上と定められています。親権者の同意は不要です。

 被保佐人、被補助人は有効に遺言ができます。保佐人、補助人の同意は不要です。成年被後見人については、意思能力がないですが、意思能力が一時的に戻ったときに、2人以上の医師の立会いのもとで行うことができます。

 遺言については、行為能力が必要とされているのではなくって、意思能力が必要とされていると覚えておくと忘れにくいです。

定まった方式が必要

 遺言は、ただ書けばよいというものではなくって、定まった方式が必要です。これは、遺言の信頼性を高めるために、民法が規定しているものです。勉強するときは、信頼性を高めるための手続きとしてどんな方法が準備されているかという観点で読み進めていくと、忘れにくいと思います。

証人または立会人の資格

 証人または立会人が必要な形式で遺言を行う場合は、立会人の資格に制限があります。以下の人は立会人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人、受遺者、これらの配偶者、直系血族
  • その他いくつか

共同遺言の禁止

 同一の証書に、二人で遺言を書くことはできません。ただし、容易に、二つの遺言に切り離せるものであれば、有効であると、判例は示しています。


 

 

憲法31条 - 法律の手続の保障

 憲法31条では、刑罰を科すときは、法律に定められた手続きによらなければならないことを定めています。

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
(憲法31条)

 突然逮捕されて、刑罰を科されたら嫌ですよね。自分に罪がないのに刑を科されるということも嫌ですよね。もし罪があるのであれば、きちんとした手続きの中で、示してほしいと思います。それを保障しているのが、憲法31条です。

 これを受けて、刑事事件の適正手続を保障するために刑事訴訟法が定められています。

法律の意味

 憲法31条の法律という言葉の意味は、もう少し広い意味でとらえられており、条例も含まれます。条例は法律から授権されているので、条例で刑罰を定めたとしても、違法ではないと判例は示しています。

行政手続への類推適用

 憲法31条は直接的には、刑事手続のことをいっていますが、行政手続においても、類推適用されると判例は示しています。ただし行政手続による保障は、行政の範囲が多種多様に及ぶので、刑事手続ほどの厳格な保障は必要がないという見解のようです。

罪刑法定主義

 憲法31条には、手続き保障について書かれていますが、実体法における罪刑法定主義については、書かれていないように思えます。また罪刑法定主義を定めたものは、憲法の中に直接現れないです。

 それでは困るというのかどうかはわかりませんが、判例は、罪刑法定主義の原則を憲法31条の中に読み取るような解釈をしています。

 罪刑法定主義は、罪にあたる要件を法律で定めるという原則です。どの程度、明確に表示しないといけないでしょうか。できるだけ明確に表示するのが望ましいですが、一般人の理解において認識できる程度において明確であれば、違憲とまではいえないと判例は、示しています。

訴状審査 | 民事訴訟法

 訴状審査とは、訴状が正しい要件を満たしているかを審査する手続きのことです。

訴状の記載事項

  1. 当事者と法定代理人
  2. 請求の趣旨と原因

 法定代理人がいる場合は、法定代理人の氏名を記述する必要があります。民事訴訟法においては、法人の代表者に対して、法定代理人の規定が準用されるので、法人を訴える場合は、法人の代表者の氏名も記載する必要があります。

 請求の趣旨というのは「AはBに100万円を支払え」というようなものです。請求の原因というのは、請求の趣旨の根拠となるものでたとえば「AはBに、2013年9月13日に、車を売却したが、代金の支払いを受けていない。このとき売買の事実を確かめるものとして、売買契約書をAとBの間で作成した。」というものです。

裁判長が行う

 訴状審査は裁判長が行います。補正を促す作業については、裁判所書記官に命じることもできます。

補正命令

 不備がある場合は、補正命令を出します。補正命令に従わない場合は、裁判所は、訴えを却下することができます。

即時抗告

 訴えの却下に対しては、即時抗告を行うことができます。

新株発行の無効確認の訴え | 商法・会社法

 新株発行の無効確認の訴えとは、新株発行の無効確認を求める訴えのことです。どのような場合に、無効確認の訴えが、認められるのかを覚えておきましょう。

  1. 新株発行が、法令または定款に違反する場合
  2. 不公正な場合

無効が認められた判例

  • 株主に著しい不公平をもたらすことを主要な意図として株式発行は無効原因になる
  • 新株発行の差し止めの仮処分が行われた場合に、強制的に新株発行された場合は、無効原因になる。

公開会社における取引の安全

 新株発行が、法令または定款に違反する場合というのが、無効の原因としてあげられているのですが、これは判例においては、そのまま解釈されているとはいえません。

 公開会社においては、多数の人が株主となるので、取引の安全という面も考慮される必要があります。そこで、判例は、公開会社においては、取引の安全に配慮して、株主総会や取締役会の決議に欠陥があったとしても、株式の発行は有効であるとしています。

 もちろん、取締役の責任を追及したり、損害賠償を請求することはできます。


 

留置権 | 民法

 留置権とは、ある物に関連して発生した債権について、債権の弁済があるまでは、その物を留置できる権利です。試験では、同時履行の抗弁権との比較の問題がよく出されます。

留置権の例

 たとえば、腕時計を修理のために預かった場合は、修理代金を支払ってもらうまでは、腕時計を返さないことができます。

 たとえば、荷物を運送で運んだときに、運送代金を支払ってもらうまでは、荷物を返さないことができます。

留置権の特徴

法定物件

 留置は、物件です。

物の占有

 物を占有していることが条件です。物でない場合は、留置権は発生しませんし、物の占有を失った場合は、主張できません。

競売

 債権が弁済されない場合は、裁判所に競売を請求することができます。事実上、優先的に弁済を受けることができます。

他の担保との引き換え

 留置権を行使する人に対して、他の担保を提供することによって、留置権を消滅させることができます。

引換給付判決

 留置権を裁判で主張した場合は、引換給付判決が出されます。