除斥と忌避 | 民事訴訟法

 裁判は公正な判決が裁判官によって行われることが求められています。しかし、もし裁判官が当事者の利害関係人だったらどうでしょうか。そのような場合は、裁判の公正が害されることが予想されますね。公正な判決ができなくなる。

 ですので、当事者との関係で不適格な裁判官には、裁判をできなくさせるための制度があります。それが除斥と忌避の制度です。

 除斥というのは、法で定められている不適格な条件が満たされれば、裁判官を訴訟手続に関与させないようにすることができるというものです。職権と申し立てによって行われます。一方、忌避というのは、裁判の公正を妨げる理由があることを理由にして裁判官が不適格であることを裁判所に申し立てることができる制度です。

裁判官の除斥

 除斥の理由がある場合は、裁判官は職務の執行から除斥されます。(民訴23条)

  • 配偶者である場合、当事者である場合、共同の権利者である場合
  • 4親等内の血族、三親等内の婚族あるいは同居の親族
  • 当事者の後見人、保佐人、補助人
  • 証人、鑑定人となった場合
  • 代理人であった場合
  • 前審で裁判を行った場合

 裁判所の職権あるいは、当事者からの申し立てによって除斥の裁判が行われます。

除斥や忌避への不服申し立て

 除斥や忌避が決定したときは、不服申し立てをすることができません。単に代わりの裁判官が任命されればよいだけだからです。反対に、除斥や忌避に理由なしという決定に対しては、即時抗告をすることができます。

除斥と忌避の対象

 裁判官だけが対象になるのでしょうか。それとも、裁判所で働く他の役職の人についても、除斥や忌避が認められることがあるのでしょうか。

 除斥や忌避の規定は、裁判所書記官にも準用されます。(民訴27条)

除斥の原因があることを知らずに裁判官が訴訟手続に関与した場合

 裁判官が除斥の原因があることを知らずに訴訟手続に関与してしまった場合はどうなるのでしょうか。当然に無効なのでしょうか。一応有効とみなされえて、申し立てによって無効が認められうるのでしょうか。

 除斥あるいは忌避の理由がある裁判官が行った職務行為は無効です。合議体である場合は、どうでしょうか。

終局判決がなされた後に、裁判官に除斥の原因があった場合

 除斥の理由は、再審事由になります。