プライバシーに関する権利 | 憲法
世の中では、個人のプライバシーが公開されない権利というものが認められつつあります。これは、憲法と関連して語られることが多いですが、憲法の条文そのものには書かれてはいません。
ではどの条文を根拠にして、弁護側の主張を論じればよいんでしょうか。また相手側は、何を主張してプライバシーを侵害しているとはいえないと論じればよいでしょうか。
ポイントは、公共の福祉あるいは、対立関係にある人権です。
プライバシー権の根拠になる条文は
プライバシー権を具体的に書かれている条文はありません。けれども、世の中では一般に認められつつある権利があります。このような場合は、憲法13条が根拠として使われます。それは、幸福追求権です。
(幸福追求権)
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。(憲法13条後半)
これにぶら下がる形で
- 人格権
- プライバシー権 - 私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利
- 肖像権 - みだりに撮影されない権利
などがあります。
判例研究
「宴の後」事件
宴の後事件の判決では、プライバシー権をひとつの権利として認めることが示されました。「幸福追求権 -> 人格権 -> プライバシー権」という流れですね。
またプライバシーの侵害と呼ばれるものがどのような侵害なのかを説明した判決でもあります。
(プライバシーの侵害の意味)
公開された内容が、事実あるいは事実らしく受け取られる可能性があり、一般人の感受性を基準にして当該個人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められ、一般の人々にいまだしられていない事柄であることを必要とする
ここでは、一般人の感受性を基準にするといわれていることに注意しておいてください。「一般人なら公開を欲しないだろう」と思われる内容なら該当するという意味ですね。本人を基準とはしていません。
この判例は、表現の自由とプライバシー権の対立をテーマにしています。表現の自由は広く認められるのですが、プライバシー権との関係で、どこに限界があるかということを考える内容になっています。
京都府学連事件
肖像権について裁判所が語った判決です。幸福追求権の一部として、みだりに容姿を撮影されない権利を人は持っていると判示しました。
ただしこの事件では、デモを行っている人の写真を警察官がとったということで違法性が争われました。結論としては、写真撮影をみだりに行われない自由を持っているが、実際の状況における必要性・緊急性・相当性を考慮にいれて、違法とまではいえないと判示しました。
早稲田大学プライバシー事件最高裁判決
学生名簿を無断で警察に渡したことが違法であると判示された。