行政権限の代行

 行政庁が直接権限を実行できない場合は、他の行政機関によって、実行できる場合がある。方法としては、代理、委任、専決、代決などがある。(権限)

代理

 代理の場合は権限の所在が変更されない。代理には、法定代理と授権代理がある。法定代理には、狭義の法定代理と指定代理がある。狭義の法定代理の例は、地方公共団体の長に事故があった場合には、副知事が代理を行うことが、地方自治法に定められているという例がある。これは、法律に実際にばっちりと書かれているということである。

 指定代理とは、たとえば内閣総理大臣が欠けたときに、あらかじめ指定しておいた大臣が、内閣総理大臣を代理する場合などをいう。あらかじめ指定した人が行う代理です。

 授権代理とは、権限の一部を代理させることを言う。処理の一部をやってもらうということである。権限は移動しない。知事がこれこれの一部をやってといったときは、知事の名において行うということか。委任代理ともいう。

 ポイントは代理の場合は、だれの名において行うかということが、移動しないということ。代理なのであたりまえだ。副知事が行っても、知事の名において行っているということになる。大臣が行っても、内閣総理大臣の名で行っているということなる。

委任

 委任の場合は、国家賠償請求をするときに、委任を行った行政庁に訴訟を起こすか、委任された行政庁に訴訟を起こすかという問題が生じることになる。委任を行った行政庁は、通常は上級行政庁のはずで、監督権を持っているという事実がある。その場合に、誰を訴えの相手とすればよいのか。

 委任では、権限が委譲されます。つまり、委任された側の責任で仕事をすることになります。これが、代理と異なる部分です。

 審査請求に関しては、審査という目的があるので、上級行政庁がある場合は、上級行政庁に行います。

 委任には、法的な根拠が必要になります。全部の権限を委任することはできません。

専決

 行政庁の補助機関が、行政庁の名において決定を行うことをいう。たとえば、財務大臣の名において、財務省の主計局長が決定を行うことなどがある。

 専決は、委任に似ているのですが、権限の移転は起こらないです。たとえば、知事が、社会保障事務所所長に、仕事を専決した場合は、知事が責任を負うことになります。委任の場合は、所長が責任を負います。

代決

 代決の場合は、一時的ということが、専決と異なる。