行政調査 | 行政法

 行政調査とは、行政による調査のことです。たとえば、食品衛生法に基づく食品企業への調査は、行政調査です。これは、法律に基づいているとはいえ、私人に対する国家権力の介入となっています。ですから、無制限に許されるならば、国家による私人への不当な干渉となってしまうことでしょう。

行政調査における法律の根拠の必要性

 憲法では、法律の定める手続きによらなければ、自由に奪われないという保障されています。これは、刑事事件における手続き保障を直接には意味していますが、判例においては、行政調査などの行政活動についても、保証の枠内にあるとしています。

 つまり、行政調査が強制捜査である場合には、法律による根拠が必要であるということです。

行政調査と犯罪捜査

 行政調査は、犯罪の捜査ではありません。行政法のひとつである国税通則法は質問検査権を犯罪捜査のために利用してはならないという規定があります。

 これは、当初から犯罪捜査のために行ってはならないという意味です。判例においては、調査の過程で、犯罪の証拠が出てきたときは、それを利用することは違法ではないと示しています。

所得税法による検査と令状

 所得税法では、間接的な罰則が定められているが、判例においては、直接強制といえる程度にまで達していないことを理由に、令状が求められているわけではないと示されている。