共有 | 民法

 共有とは、ひとつの物を複数人で所有することを言います。複数人で所有されている物を共有物といいます。たとえば、ひとつの自転車を複数人で利用するということが考えられます。

共有物の利用

 それぞれの共有者は、共有物の全部を、持分に応じた利用をすることができます。全部を利用することができますが、ひとりで所有しているわけではないので、ある程度の制限がかかります。

各共有者がひとりでできること

 保存行為とみなされる行為については、各共有者がひとりで行うことができます。

持分価格の過半数でできること

 共有物の管理行為は、持分価格の過半数でできます。

共有者全員の同意を必要とすること

 共有物に変更を加えるときにも他の共有者全員の同意が必要です。誰かに売るなどの処分を伴う行為も変更に含まれます。

 各共有者が単独でできるか、全員の同意が必要かは、その行為が保存行為に該当するのかを判断するとよいでしょう。

 ただし、いくつかの例外があります。判例においては、所有権の確認の訴えは、全員で行う必要があるとされています。これは、だれに所有権があるのかを確定させるので、全員で行うことが必要だからです。また、土地の境界確定の訴えも、全員で行う必要があります。

持分の譲渡

 各共有者は持分を第三者に譲渡することができます。共有物全体の変更とは、区別しましょう。

共有の解消

 共有を解消したい場合が出てきます。

共有者が管理費を支払わなかった場合

 たとえば、共有物を管理するための費用を支払わなかった場合です。この場合は、1年以内に支払いを行わない共有者に対して、持分の価格を支払って、持分を取得することができます。

分割請求

 各共有者は、分割が可能であれば、分割を請求することができます。各共有者は、それぞれ分割された部分をひとりで所有することになります。

 分割に同意しない場合は、裁判所に「共有物分割請求」を行うことができます。

所有権以外の権利への準用

 共有の規定は、所有権の項目にありますが、この規定は、所有権以外の他の権利においても、準用されます。