原因において自由な行為 | 刑法

 罪に問うためには、犯罪の実行時に当事者に責任能力が必要である。しかし、これをそのまま当てはめると、たとえば、自分を泥酔の状態に陥れれ、責任能力を失った状態で、自動車事故を起こした場合に、その人を罪に問うことができなくなる。

 普通の人の感情とすれば、泥酔状態で運転したことが悪いと感じるのに、刑法は責任能力がない状態で罪を犯した場合は、犯罪に問えないといっている。これは不公平な感情をもたらす。

 そこで原因において自由な行為という理論を用いることで、これを解決する。原因において自由な行為とは、「責任能力がない状態に自分を陥れる行為」を行ったときに責任能力があれば、犯罪の実行時に責任能力がなくても、責任能力ありとみなすことができる理論のことです。

 原則的には、行為が行われたときに、責任能力があるということが必要ですが「原因において自由な行為」はこれの例外となっています。