詐欺罪と偽造通貨行使罪の関係

 犯罪の中には、構成要件が重なりあうものもある。そのときに、どのような罪になるかということを考えないといけない。

 偽造通貨行使罪に問われた人は、だます意思をもっているから、詐欺罪にも問われるのではないかという疑問が浮かぶ。まずだます意思はひとつだけということと、だました行為もひとつだけということを押さえておきましょう。

 どのような罪に問われるのかということについては、完全に論理的に導けるというわけでもないです。これは、罪ごとに考える必要があります。

 判例は、偽造通貨行使罪には、だますという行為が当然予定されていることなので、詐欺罪は成立せず、偽造通貨行使罪の一罪だけが、成立するとしています。